シュ・ミゼラブル

趣味多すぎてパンク。雑な感想、メモ

今年もミュージカル『レ・ミゼラブル』を観た

ミュージカル『レ・ミゼラブル

作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク

原作:ヴィクトル・ユゴー

作詞:ハーバート・クレッツマー

演出:ローレンス・コナー / ジェームズ・パウエル 

オリジナルプロダクション制作:キャメロン・マッキントッシュ

*・*・:::・*・*:::・*・*:::・*・*:::・*・

観劇日時
2019年7月6日(土)12:00~ @梅田芸術劇場メインホール
佐藤隆紀 / 上原理生/ 知念里奈 /

唯月ふうか / 海宝直人/ 生田絵梨花 /

斎藤司 / 朴路美 / 上山竜治 / 他

 *・*・:::・*・*:::・*・*:::・*・*:::・*・

 

導入

今年のレミゼラブルも観た。

原作を読み、2012年版の映画で感動し、その後ロンドン・ウェストエンドで初ミュージカル鑑賞(ストレートプレイの舞台それまで観ていたが、ミュージカルはほぼ初)としてレミゼラブルを浴び、2015年、2017年の日本版を観てきた。特に長くもない観劇履歴のなかで、着実に重要なものになってる。

「日本・世界に大ファンがいる作品だし、畏れ多い」という謎の遠慮から特に深入りしてこなかったが、やっぱり観ると安心するし心から素晴らしいと思える。

 

暗い作品なのか

今回ふと思ったのが、わたしはこの作品のことを「暗い作品だと思い込んでいたのでは」ということだ。これは勿論人によって感じ方は違うし、暗くないと言ったら嘘になる。

人は死ぬし、理不尽なことが次々に起きる。昔知り合ったばかりの知人とミュージカルの話になったとき、「レミゼラブルが好き」と伝えると「自分は好きではない、暗い。暗い気持ちになる」と言われたことがあって、「確かに暗いな、自分は好きだけど、暗い作品なんだ」と思い込んだ。それからあまり自分から人に勧めることをしなくなった。

でもやっと今回「ただ暗い作品ではない、むしろ光が宿っている」と気付いた。

先に述べたように闇の部分は多いが、その中にジャン=バルジャンの信念やコゼットとマリウスの愛などが光として差し込む美しさがある。

勿論明るい光に満ち満ちるわけではないけど、細いけど強い「一筋の光」が眩しく映る。

これに気付けただけでも今回観てよかったと思った。他から見れば「今更?」と思われるかもしれないけど。

 

初めてエピローグに心打たれた

怒られるかもしれないけど正直「このミュージカル、エピローグ必要なの?」と思っている時期があった。別にバルジャンの過去が不要という話ではないし、むしろその過去があるから深みと意味のあるストーリーになると思っている派である。

だから一層、原作であれだけ尺をとって長々としっかり描かれているジャンバルジャンの過去がダイジェストで広げられていくので、「原作知らない人からしたら余計に混乱しそうだし、こんなに省略するならいらんのでは。ジャベール警部かっこいいから許す」とか思ってしまっていた。

けどそれも勝手な思い込みだった。実際あのエピローグには消えない過去の苦しさ、変わろうにも変われない理不尽さの闇の部分と、慈しみと愛に触れ自らと向き合い変わる決心をしたジャンバルジャンの勇気という光の部分がミュージカル化するなりに描かれていた。(仏初演版にはなくウェストエンドに持っていくときに追加された部分らしいが。)

この数年で自分のなかで何があったのか知らないが、自分でも驚くくらい今回エピローグで感動した。

シュガーさんのジャン・バルジャン

これを記録している時点では今回のバルジャンは佐藤隆紀さん(以下シュガーさん)しか見ていないので、もしかすると皆演出でこんな感じなのかもしれないが、率直に感じたこと。

ジャン・バルジャンだというシュガーさんだが、それを感じず、正直途中で「あ、これシュガーさんだったんだ」と気付いたくらい入り込んでいらっしゃった。

クセがなくてまっすぐで芯があって人間で、「シュガーさんを見てる」のではなく「ジャンバルジャンを見てる」と何の誇張もなく感じた。だから、今回シンプルな作品の良さに気付けたのかもと思って、シュガバルジャンさんに感謝申しあげます。

勿論お歌も素晴らしくてかっこよかったです。

真ん中が開く演出

エピローグの話に戻るが、ジャンバルジャンの過去の後にタイトルが提示されて1幕始まるところがめっちゃ好き。思い起こすだけでもぞくっとするくらいかっこいいしなんか好きすぎて涙がこみ上げてきそう。

今から怒涛のドラマが始まるんだという圧、曲の重厚さ。

真ん中が開いてそこからパリの貧しい人々が出てくるところが無駄がなく、効果的な演出に感じて拍手しそうになる。

真ん中開くところで好きなのは他にもあって、裁判のシーンですっと開いて光が差し込むところ。ここの場面展開が下手だとセット移動の無駄時間ができそうだけどそれがなくていいなあ!と思った(何目線?)。あと、エポニーヌのソロ後にバリケードが展開されるところ。

場面展開に待ちがないセット、演出ってステキですよね。別に専門で勉強してたとかじゃないけど素人目線でもそう思う。

 

マリウス

海宝マリウス

実は日本版レミゼラブルでのマリウス、海宝さんしか見たことがない。

が、今回も素晴らしかった。プロマリウスと勝手に申し上げております。

当たり前だがお歌が極上。しかも演技も素敵。コゼットに出会って喜びが心には収まり切れなくなったから歌にも、表情にも、動きにもにじみ出ちゃいましたみたいな感じ。心が奪われてぼーっとしてしまっていて、「マリウスポンメルシー君!しっかりして!」って応援上映があったら言ってしまいそう。

申し訳ないが「マリウスほんとひどいよな」って思う時期もあったけど、今は「ピュアなので、目の前が見えなくなってしまっているだけ」だという印象なので、エポニーヌちゃんにも「友達」としてしっかり接していた。

エポニーヌの臨終シーンで介抱する海宝さんの表情も素晴らしかった。

でもやっぱりとにかく海宝さんの歌が素晴らしいので、これでは足りず、もう海マリの時はコゼットの分も代わりに歌っていいよ、って思った(コゼットごめん)。

GOE+5のリフト

気絶していてジャンバルジャンに運ばれていくシーン。

席が舞台から近すぎて何度かの抱えられる体勢変更の流れもしっかりみえてしまったのだが、シュガーさんと海宝さんの連携が自然できれいで、フィギュアスケートを見まくってた者としては「佐藤海宝ペア、リフトの出来栄え点+5です」っていう気持ちになった。

カフェソング

悲しくて美しいシーン。

その前に残された女たちが祈りのキャンドルを置いていくが、それを散った学生たちの幻影が回収していく。消えていくキャンドルが虚無を演出しているし、虚無を演出しながら美しく場面展開に持っていくのが素晴らしくて感動する。

しかもそこにまた海宝さんの切ない歌声が…。沁みた。

あんなに喜びで満ち満ちて輝いていたのに、ここでは心の穴をぽっかりあけて、目に生気がなくて、苦しみが伝わる。それがまたこの後の光の影となる。

コゼットはマリウスのマリア

コゼットは一見ただのきらきらしたお嬢さんだと思われがちだけど、ファンテーヌの幸せへの希望を回収する、強い人だと思うので、そんなパワーも持ち得ているはず。

先述の暗い影を抱えてしまったマリウスの希望で、でもただ支えるというサブの役割ではなく、起き上がれるように引っ張っていく存在なのでマリアだな…と解釈するなどした。

ジャベールが好き

元々好きな登場人物がジャベール警部とアンジョルラス。二人はいる立場と思想は違うけど、信念を貫いてそれが第一だと思っているところがそれぞれ似てるなあと感じている。

(ちなみにミュージカル『マタ・ハリ』のラドゥー大佐とかもすきである。)

ジャベール警部は単純に冷酷だとか、人の心がないとかではなく、真面目な人だと思う。仕事に対する熱い信念を持っていて、貫くために邁進している。

規律、正義をアイディンティティとしていたジャベール警部が、愛や慈しみ、情に触れてわからなくなってしまった。しかもそれに負けて信念と異なることをしてしまって、最期を遂げることになってしまったと解釈している。今まで築きあげてきた自分を壊される気がしたら、混乱するし、怖くなるし、その事実を信じたくはない。

これはバリケード内でジャンバルジャンに助けられたことだけがきっかけではなくて、(生まれ変わり後の)バルジャンが他人への愛で動く姿を見続けてきたのもジリジリきていたんではないかなあとかも考えてしまう。

上原ジャベール

若くて瑞々しくてとても品のあるジャベール警部、良すぎ。ピッタリとした制服も、執念でバルジャンを追い回すキャラクターも似合いすぎていて、初の役とは思えないのですが。プロジャベールの方・・・?となった。

お声も強くてくまさん感もちゃんとある(ジャベールにはくまさん感を求めてしまう)し、真面目すぎるが故のドジっ子属性も感じる。

病院での対決シーンの「仕留めるぞ」という顔がめちゃくちゃよかったが、その後ジャンバルジャンにボコボコにされるところ、正直「やめてあげて~~!!」となってしまった。

スターズの伸びやかな歌声の圧は素晴らしい。自殺前の髪を下している姿はビジュアル的にも素晴らしい。とても素晴らしい(語彙)。

将来ジャンバルジャンにも挑戦してそうな影を勝手に感じた。

そのほかキャスト

その他のキャストについても色々あって書ききれないのだが、アンジョルラスも正直コゼットも、みんなとにかくよかった。

唯月エポニーヌ

デスノートミサミサぶりの唯月ふうかちゃんさん。細くて小柄でかわいいエポニーヌだけど、感情的で存在感のあるエポニーヌだった。表情もコロコロ変わってマリウスに夢中な様子が伝わる。マリウスはコゼットに出会って目の前が見えなくなっていたけど、エポニーヌはマリウスに夢中だからこそ周りをよく見ている、という印象。

コゼットのこと殺めてしまうのではくらいの勢いもあった。

斎藤さんのテナルディエ

斎藤さん、髪型違うだけでビジュアルは誰だかわからんくらいだったけど、やっぱり声に特徴があるから「あ、斎藤さんだ!」ってなった。いいかんじの気持ち悪さと狡猾さが出ていた。

確かに声は斎藤さんだし役としてのコメディ感はあるのだが、思っていたよりも真面目にシンプルに演じてらっしゃったなと思う。これ、慣れてきたらもっと斎藤さんなりの、舞台を邪魔しない程度の、何か個性がでるのかなと少し期待。今はまだ思いっきり感が少ないかなという感じ。ある程度は役者の個性があってもいいと思っているので。

あと、席が前すぎてワンデイモアの時、右上の窓から出るパプリカ持った斎藤さんが気になりすぎた…笑。

おわり

新しい発見ができて、感じ方も変わっていたりして、自分の成長も感じられて、いいことずくめのレミゼラブル鑑賞だった。大阪公演も後少ないけど、個人的に小野田アンジョルラスが凄く見たい…、チケットはない。

さて、その希望は叶うのか…?to be continued…

f:id:tomoshka:20190714173257j:plain

f:id:tomoshka:20190714173305j:plain